書籍版一巻の改稿案
印刷された愛殺一巻を読んで、私が「あ~ここ直したいな~」と思った箇所をピックアップしました。第二版がでるときはおそらく直されてます。なんとなく「夢伽はふだんどうやって改稿してんのかな~。誤字脱字どこまで見てんだろ」みたいな人に向けて(そんな人いるのか?)作ってみました。最後に私の一言があります。途中から読むの面倒になった人は下まで飛ばしてください。
それではどうぞ。
第三章 多聞にして紛い
■60ページ 注釈38
長い銀の睫毛が瞳に影を【宿し】、口を噤んでチェスを並べる彼の姿は、不覚にも綺麗だと思っちゃった。
→長い銀の睫毛が瞳に影を落とし、口を噤んでチェスを並べる彼の姿は~
【落とし】:影が瞳に宿るのはなんだか変。
■78ページ 7行目
「【うん】、それでいいよ」
→「ん、それでいいよ」
【ん】:こっちの口調のほうが正解でした。夢の中でサフィアがメアリに返事をしているシーンです。
第四章 桃溶け、禍福の貴石
■85ページ 9行目
意味ありげな視線を送られ、コホンと咳ばらいをする。「全然、ジウには負けるわ」アンに顔を向ける。
→意味ありげな視線を送られ、わたしはコホンと咳ばらいをする。
追加【わたしは】:三人登場しているし、誰が喋ってるかわかりづらいかも。
■95ページ 後ろから6行目
勢いで瓶が倒れ【ゴロゴロ】転がっていくけど、どうやらそれは空みたい。
→勢いで瓶が倒れごろごろ転がっていくけど、どうやらそれは空みたい。
【ごろごろ】:カタカナはダサいのでどちらかといえば平仮名の擬態語を使っていきたい。でもこうしてみると、「れ」と「ごろごろ」と平仮名が並んで読みづらいかもしれない。要検討。
■99ページ 後ろから8行目
──それは正午過ぎ、太陽がようやく傾いて【くるころのことだった】。
→なんか違和感。表現が微妙。要検討。
■104ページ 9行目
「じゃあ、【|ク《・》|ラ《・》|ー《・》|ケ《・》|ン《・》】だね」ジウはにかっと笑うと、力強く舵輪を握った。
→「じゃあ、クラーケンだね」ジウはにかっと笑うと、力強く舵輪を握った。
【傍点】:あまり意味がなさそうなのでカット。
■105ページ 後ろから9行目
クラーケンが深海から上がってくるとき、波に流されて近くにいた深海魚も浅海に上がる。そして【、】海面にはあんな風に魚の死骸が浮かぶ。──それが、クラーケンの現れる前兆だ。
→クラーケンが深海から上がってくるとき、波に流されて近くにいた深海魚も浅海に上がる。そして海面にはあんな風に魚の死骸が浮かぶ。──それが、クラーケンの現れる前兆だ。
【、】:カット。後ろの『それが、』のほうを際立たせたいので、ここにも間があると違和感。一息でいい。
■116ページ 1行目
「なにしてんの⁉ 落ちたの⁉ ……って、そんなわけないか」【とジウ。】
→「なにしてんの⁉ 落ちたの⁉ ……って、そんなわけないか」
【とジウ。】:カット。台詞的にジウが言ったことは明らかであるため必要なし。
■127ページ 後ろから9行目
「【少し】疲れた。事後処理の指示、頼む」
ラムズはそう言うとロミューに手を伸ばす。
→「ちと疲れた。事後処理の指示、頼む」
【ちと】:ラムズはよくこっちを使うので。『少し』を絶対に使わないわけではない。
第7章 空蝉の白浜にて
■205ページ 後ろから11行目
それに、そうよ。わたしが知らない使族なんだわ。【もう思考は放棄しましょ。】
→それに、そうよ。わたしが知らない使族なんだわ。考えるのはやめましょ。
【考える~】:思考を放棄はあまりにも言い方が漢語的すぎた。メアリのキャラとしても少しおかしい。
■208ページ 9行目
「ちょっと綺麗だな」とグレン。
たしかに【、】綺麗かも。
→たしかに綺麗かも
【、】:カット。ここで言葉を切って話すより、そのまま言い切ってしまうほうが自然な(メアリらしい?)気がした。
第8章 四音の先
■225ページ 3行目
メアリはこの話を、よく他の仲間から聞いていた。彼女らの呪いと似通うところがあったのだ。そして話の最後には、いつもこうつけ足された。
『だからわたしたちも人間に恋なんてしちゃいけないのよ』
【と。】
→ メアリはこの話を、よく他の仲間から聞いていた。彼女らの呪いと似通うところがあったのだ。そして話の最後には、いつもこうつけ足された。
『だからわたしたちも人間に恋なんてしちゃいけないのよ』
【と。】:カット。縦書きだと特に、この「と。」が目立ちすぎるし、ある意味もそんなになさそうだった。音読するとあるほうが自然なのだが、見栄えはないほうが綺麗なのでカットしていい気がする。
■228ページ 4行目
甲板にいる誰もがその様子に瞠目していたなか、たったひとりある少年が【、】メアリをじっと見ていた。
→甲板にいる誰もがその様子に瞠目していたなか、たったひとりある少年がメアリをじっと見ていた。
【、】:カット。たしかに『たったひとりある少年が見ていたこと』は目立たせたいのだが、文頭から音読すると読点が多すぎることがわかる。むしろ最後の文はさらっとそのまま流すことで、気づかないかもしれない伏線になってもいいと思った。
第9章 糧にも枷にもなるもの
■245ページ 2行目
「お前こそなにしてんだ? 掟を忘れたか? 人魚に暴行を働いた者は死刑だ」
そういえばそんな掟があったわね、変だと思ってたんだ。というか、死刑だっけ⁉ もう少し罰は軽くなかった?
「そんな……そんな掟が通るわけないだろ! 人魚【は】死刑だ!」
→「そんな……そんな掟が通るわけないだろ! 人魚こそ死刑だ!」
【こそ】:前のセリフとのつながり的に『こそ』を使ったほうがいいかも。ただしこのセリフを話している少年が『こそ』を使うかといわれると少し違和感がある気がするので、変えたverを前から読み返しながら検討する。
第10章 白昼の七ツ星
■255ページ 1行目
わざと目の前のラムズを見つめることにした。ラムズはそれはもう愛おしそうに鱗に触れている。目つきは穏やかで、唇は微かに弧を描いている。もちろんあの冷たい笑みとは違う。
→+きれいな顔だ。いつもそうやって笑っていたら、少しは親しみやすくなるでしょうに。
【追加】:行末に追加。あるいいと思った。笑。
■257ページ 後ろから3行目
顔を背けようとして、宝石にも見劣りしない青の光彩に【釘付け】になった。
→顔を背けようとして、宝石にも見劣りしない青の光彩に釘づけになった。
【釘づけ】:「付」は基本的には開くことにしている。ここは開いてもおかしくないと思うので開くべきだった。
■267ページ 5行目
「ほしいもの? 【うーん】……」
→「ほしいもの? そうねえ……」
【そうねえ】:このエピソード一帯、かなり「うーん」を使っている気がしたので、ここだけでも少し変えたい。
【そうねえ】:このエピソード一帯、かなり「うーん」を使っている気がしたので、ここだけでも少し変えたい。
■276ページ 1行目
「あのー、ラムズ?」
「【なんだ?】」
→
「あのー、ラムズ?」
「ん?」
【ん?】:「なんだ?」もラムズは言うのだが、ここは「ん?」のほうがかっこいいと思いました……笑。ただなぁ……優しすぎるかなぁこの段階は……。このセリフが果たして素なのかどうか……。やっぱり素じゃない気がしてきたから直さなくていいのかなぁ。
第11章 謀られ事か、図らず事か
■281ページ 5行目
眼を開いたままに、彼の身体は寸分も動かなくなっていた。
→【一字下げ】:全角ではなく半角で下がっている。最悪!!! これが本文内の致命的ミスである。それ以外はまぁ許容できるミスというか、ただの私のこだわりというか……。
■282ページ 4行目
遠くから声が返ってくる。「ロミュー? ボク【も】忙しんだけどぉ」
→ 遠くから声が返ってくる。「ロミュー? ボク忙しんだけどぉ」
【も】:カット。ジウの台詞だが、何かと並列させるべき事柄はない。つまり『も』は必要ないと思う。ただ実際のセリフと考えると、意味もなく「ボクも」と言ったりするかも。
本当に書籍版を改稿していたときは、もちろんもっとちゃんとした(?)誤字脱字やミスはありましたが、さすがに数えきれないほど見返しているせいか、致命的なミスはほぼなかったです。よかった。書籍版はweb版とは違って、ルビの振り方や漢字の開き方の統一にも気をつかったので大変でした。ラムズのセリフも見直しましたし……(他キャラは???)。検索や置換も使ってやっていましたが、置換機能って思わぬミスもあるんですよ。
私にとっては「それって直す必要あるん。変わらなくね」とどこかに言われそうなことも改稿項目のひとつです。人より細かく見てる気がしますが……どうでしょう? 改稿って永遠に終わらないんですよね……。
一巻は新しいエピソードも二巻に比べれば少ないので、まだマシだったかなぁ。とはいえ半角の一字下げミスはがちめにショックです。これ以外は紙にして初めて気づいた改稿事項だろうと思うのでいいんですが……。ただラムズのセリフの「ちと」や、サフィアの「ん、」は個人的にとても直したい!
あとは会話文のあとに続けて地の文を書くやつ、ちょーとやりすぎたかな感がありますね。もう少し見直して、改行の量を増やしてもいいかもしれない。あとは漢字の開きについても逃しているところがあるなぁ……。二版を出すときはもう一度全文検索して一つずつ見ていこうと思ってます。改めて「漢字開くリスト」作らなきゃ。
誤字脱字をなくすためのアドバイスとしては、「違う媒体で文章を読む」これに尽きます。編集画面、プレビュー画面、パソコンでなく携帯、パッドなど、いろいろ方法を変えるといいです。あとはただ読むだけ。
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